最新コラム・レポート

【アスファルト舗装の補修工法】空隙づまり洗浄(エアタイプ・高圧水タイプ)とは?施工方法を徹底解説!

ポーラスアスファルト舗装など排水性舗装・透水性舗装の空隙に土やゴミなどの物質が詰まると機能が低下してしまいます。

一般的な寿命は15年以上といわれていますが、このように不具合が発生すると必ずしもその限りではありません。

このような機能を備えている道路は高速道路や幹線道路・国道など交通量が多い道路によく供用されていることが多いので、そのまま放置するわけにはいきません。

舗装が高温になる時期に通行車両のタイヤにより圧密され、空隙が閉塞してしまうと空隙づまりが生じてしまいます。

もし空隙がつぶれてしまうと機能回復できず根本的な補修を強いられますが、空隙がつぶれていなければある程度機能を回復することができます。

そこで、詰まった部分を洗浄する方法を解説していきます。

 

エアタイプの空隙づまり洗浄

エアタイプの空隙づまり洗浄は、排水性機能維持機械を用いて詰まりの原因となる土砂・塵・埃などをブロアーで除去する工法です。

これによってポーラスアスファルト舗装の機能である透水性や騒音低減力を回復させることができます。

洗浄ノズル毎に飛散抑制のための板やカバーが設けられているので、塵や埃などが飛び散ることはありません。

高圧水を使用しないので、安価で工期も短い施工が可能です。

施工手順

現場透水試験による事前準備

まず、事前に現場透水試験を行います。

現場透水試験とは、現場の地盤において水がどれくらいの速さで浸透するかを調べる土質試験の1つです。

試験深度の手前までボーリングし、ケーシングを差し込み、地下水をくみ出します。

その後、地下水位の回復状況を測定します。

このようにして透水係数を求めて、路面の空隙づまりの状況を把握します。

排水性機能維持機械による洗浄作業

排水性機能維持機械を走行させながら、ブロワーを使って空気を循環させます。

土砂等の排出

空気と一緒に土砂・ゴミなどが吸引されますので、濾過して回収タンクに貯めます。

作業が終われば排出させ、産業廃棄物として処理します。

留意すべき事項

  • 機能低下が著しくなる前に実施することが望ましいです。
  • 空隙づまりがあまりにもひどい場合は、高圧水タイプの洗浄を検討します。
  • 舗装の排水機能や騒音低減には期待できますが、既につぶれてしまっていた場合には効果がありません。
  • ロードキーパーとよばれる機能回復車もあります。ロードキーパーは舗装面をシールして、水を供給しながら振動で舗装の目詰まりを遊離させて除去することが可能です。

 

高圧水タイプの空隙づまり洗浄

高圧水タイプの空隙づまり洗浄は、機能回復装置を用いて空隙に詰まっている土砂・塵・埃などを高圧水で吹き付けながら除去する工法です。

この際水を使用するので、詰まっていた土砂等と混合し汚泥が発生します。

そこで、バキュームで吸引回収することが可能です。

エアタイプと同様、透水機能や騒音低減機能の回復が期待できます。

さまざまな路面状況に合わせて、回転噴射吸引式と呼ばれる標準型や排水性舗装機能回復車と呼ばれる高速型などがあります。

標準型(回転噴射吸引式)の特徴

標準型は狭い道路や箇所、構造物の近傍のときに使用しやすいです。

機能低下に悩んでいる場合は回転噴射による標準型洗浄のほうが適しています。

高速型(排水性舗装機能回復車)の特徴

高速型はトルネード式で汚泥や物質を高速回収します。

作業効率が高くなるので、幹線道路など大規模な工事に適しています。

日当たりの作業量が増やせるので、延長距離の増大が期待できます。

また高速化に伴って、他の車両よりも走行速度はかなり遅いですが、交通規制が必要ありません。

したがって、定期的な予防的維持作業に適しています。

空隙がつぶれないように、定期的に管理するためには必要なことでしょう。

施工手順

現場透水試験による事前準備

エアタイプ同様、現場透水試験により現場の詰まり状況を確認します。

路面洗浄車による機能回復作業を開始する

吐出圧力を所定の値にセットし、路面洗浄車を設定された速度で走行させます。

高圧洗浄によって、機能回復作業を行います。

洗浄中の速度は一般車両の走行速度に比べるとかなり遅いので、路面清掃車のように他の車の走行の邪魔になってしまいます。

汚泥を排出し、処分する

バキュームで吸引した汚泥水を沈殿・濾過させて汚泥を蓄積させます。

その後、必要に応じて回収し、指定された処分場に産業廃棄物として処理します。

留意すべき事項

基本的にエアタイプと同じです。

  • 著しい機能低下が起きる前に洗浄することが望ましいです。
  • つまりには対応できますが、つぶれには効果がありません。

キャビテーションジェット機能とは

キャビテーション現象とは、静止した液中に液が高速噴射されたときキャビテーション気泡と呼ばれる無数の気泡上の空洞が発生するという現象です。

発生したキャビテーション気泡が消滅する際、大きな衝撃と圧力を起こします。

排水性舗装機能回復車に搭載されているキャビテーションジェット機能はこの現象を引き起こし、空隙づまり物質の遊離除去効果を利用してています。

そして、従来の洗浄方法では取り除けなかった骨材裏にある空隙に詰まっている物質を除去することができるようになりました。

この洗浄方法と高圧水の噴射を上手く利用して洗浄むらをなくす機械が開発されました。

1 2