大粒径アスファルトは、粗骨材を使用し主に基層や上層路盤に使われ施工性と耐久性に優れています。
半たわみ舗装は、アスファルトのたわみ性とコンクリートの剛性を兼ね備えた舗装で、負荷が大きくかかる場所や、景観を良くしたい場所などに使われます。
どちらの舗装材も、通常のアスファルト舗装とは違う性質をもっているので、それぞれ解説していきます。
大粒径アスファルト舗装とは?
最大粒径が25mmの粗骨材を使用したアスファルト混合物で、骨材の噛み合わせが良く、流動性や摩耗性に優れています。
また、転圧回数を通常よりも少なくできる為、短時間、小労力で施工が可能。
それでは、特徴や適用箇所、注意事項を解説します。
大粒径アスファルトの特徴
最大粒径25mm以下の粗骨材を使用したアスファルト混合物で、基層や上層路盤に使われ、植物性繊維を使用し、表面のキメを改良することで、表層にも使用することができます。
粗骨材を使用することで、噛み合わせが良く、流動性や摩耗性に優れており、重交通路線や滑走路などで使用することができるアスファルト混合物です。
シックリフト工法で施工することで、10〜30cmの転圧で仕上げる事ができるので、工期の短縮や施工時間の短縮が見込めるので、時間に制限のある道路での施工に適しています。
また、道路解放温度も通常の舗装と比べ、高い温度でも道路解放できるので、通常の舗装を行うよりも早く道路解放できるでしょう。
(通常舗装の道路解放温度は50℃、対して大粒径アスファルトを使用した際は70℃で道路解放が可能。)
大粒径アスファルトの適用箇所
高い耐久性が見込まれるので、以下の様な舗装に高エネルギーがかかる場所でも使用することができます。
- 鉄道ヤード
- 高規格幹線道路(高速道路など)
- 早期道路解放が必要な重交通道路
- 港湾などの超重量車両が通る施設や道路
- 空港の滑走路・誘導路など(関西国際空港で使われた事例あり)
滑走路や港湾、鉄道ヤードでは、高耐久と早い施工性が求められる為、大粒径アスファルトが採用されることが多いです。
あとは実際の例を挙げると、長崎県西彼杵郡で行われた道路工事では、当初の設計で仮舗装を行ったところ路面損傷が起きてしまったので、予算・施工スピード・強度を再検討した結果、路床の石灰化と大粒径アスファルトが用いられました。
(参考:フルデプスAs舗装と大粒径As舗装を併用した急速現道切下げ)
このように『施工性』『強度』が求められる場合に使われることが分かります。
関西国際空港での実例
2007〜2008年に行われた、関西国際空港第一滑走路の改修工事でも、大粒径アスファルトが採用された事例もあり、24時間稼働している空港での作業は、時間的余裕がない中での作業でした。
週5日間、23時10分〜翌6時40分の7時間半しか作業時間を設けられず、しかも毎日滑走路を解放しなければならないという施工を余儀なくされました。
検討した結果、基層には大粒径アスファルトを採用して解放を早める施策をし、最終的には表層にポリマー改質Ⅱ型を採用したそうです。
(参考:大粒径アスファルトを用いた関西国際空港の滑走路大規模改修について)
大粒径アスファルトの注意事項
- 20cm以上の厚さで転圧を行う際は、高締め固めフィニッシャーを使用。
- 交通解放温度の目安は表面温度70℃、内部温度90℃を目安にする(通常の場合50℃)。
- 大粒径アスファルトを基層にした場合、初期わだちの発生の可能性がある為、表層は後日施工するのが望ましい。