道路は、走行する車両の荷重・地域性・気候等さまざまな影響を受け、供用性能が低下していくと劣化が進行してしまい、交通に支障をきたしてしまいます。
そのため、舗装の破損具合に応じて、適切な方法を採用して補修しなければなりません。
補修は舗装を長期的に機能させるための維持による補修と供用性能の向上・回復に務める修繕の補修があります。
どのような破損をしているか、どこまで応急性があるかによってさまざまな手法がありますが、路上表層再生工法について解説します。
路上表層再生工法とはどんなもの?
路上表層再生工法は、流動や摩耗によるわだち掘れなどで既設舗装が破損している場合に、現位置で加熱や再生させる工法です。
短期間の施工や廃材の削減、二酸化炭素の低減など環境配慮型の舗装補修です。
主に2種類の工法がありますので、それぞれ紹介します。
リペーブ方式とはどんなものか
既設舗装の混合物に関して特に改善の必要がない品質であった場合や必要だとしても軽微な改善で十分である場合に適用されます。
かきほぐしたり加熱させた既設表層混合物や再生用添加剤を整正して、その上に新材のアスファルト混合物を敷きならして同時に締め固めを行います。
リミックス方式とはどんなものか
既設表層混合物のアスファルト量や粒度、古いアスファルトの針入度などを調整して、総合的に品質改善を行う場合に適用されます。
かきほぐしたり加熱させた既設表層混合物や再生用添加剤を整生して、新規アスファルト混合物を混合させて敷きならし、締め固めを行います。
両者の違いは、既設表層をかきほぐした後、新規アスファルト混合物を別々に敷きならすか混合させて同時に敷きならすかというポイントです。
もちろん各施工機械にも大きく関係しています。
路上表層再生工法を使用するメリット
この工法はいくつも利点があり、合法的な工法として知られています。
以下に適用するメリットを紹介します。
- 既設舗装をそのまま再生利用できるので、発生材が生じない
- 1工程、1パスで施工が完了でき、短期間の工事が見込める
- 直接工事費が抑えられ、節約になる
- 他の工法よりも比較的工事に伴う振動や騒音が小さい
- 工事に関するエネルギー消費量が少なく、二酸化炭素の排出が抑えることができる
- 既設のアスファルト混合物を使用する手法なので、新たな混合物を使用する量の節約にもなる
路上表層再生工法を使用するデメリット
いくつかメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットも存在します。
そこでいくつか路上表層再生工法を適用することのデメリットを紹介します。
- オーバーレイ工法よりも事前調査や設計方法が複雑なので、簡単には行うことができない
- 専用の機械を使用した施工を行うので、施工機械のサイズを考慮すると小規模工事では適用できない
- 場所の制約が多くあり、基層以下が破損している場合には適用できない
- 流動による破損の路面状態に対しては比較的信頼度が小さい
などと本工法を採用するまでに、十分な検討を行わなければいけません。
使用する材料
使用材料は既設舗装混合物、新規アスファルト混合物、再生用添加剤があります。
リペーブ方式では、新規アスファルト混合物は再生する層の上部被膜として保護するために用いられます。
選定方法は、できるだけ既設の混合物に合わせますが、機能性や耐久性の向上をねらうために改質アスファルト混合物を使用することもあります。
リミックス方式では、新規アスファルト混合物は舗装厚増加や品質改善の目的で使用されます。
そのため、既設混合物との配合比率や粒度などきっちりと計画したうえで決定されます。
再生用添加剤は、エマルジョン系とオイル系の2種類があります。
エマルジョンは乳化されている状態のことをいいます。
労働安全衛生法施工例に規定されている特定の化学物質を含むものは使用してはいけません。