施工する方法
下準備
既設舗装に打ち換えを行いたい箇所をチョークやラッカーなどで明示します。
起終点や縦継目部分を明示することが多いです。
縦継目部分は原則車線に合わせるようにし、車輪の走行位置にこないように設定します。
既設舗装の取壊し・運搬
- 打換え箇所について、コンクリートカッターなどで厚みを考慮して切断する。
- アスファルト・コンクリート問わず、既設舗装をブレーカーやコンクリート圧砕機で割ります。その後、バックホウで割った舗装版や舗装殻をダンプトラックに積み込み、指定された処分場に運搬します。
- 既設路盤材についてもバックホウで掘り起こして、発生した路盤材をダンプトラックに積み込み、指定された処分場に運搬します。
下層路盤工を行う
- 掘削面について人力もしくはバックホウを用いて、不陸整正を行います。仕上がり高さを調整しながら上層になる路盤や舗装に影響ないよう注意します。
- 路盤材をダンプトラックで搬入し、人力もしくはバックホウで敷きならします。ランマやプレートを使用して締固めを行います。
このとき時転圧不足だと、後の道路沈下などの影響に繋がりますので入念に行います。
プライムコート工
エンジンスプレーヤを用いてアスファルト乳剤を所定量散布し、養生を行います。
エンジンスプレーヤは先端にノズルが付いていて、ドラム缶や一斗缶に入った乳剤を噴射して塗布するための機械です。
養生は乳剤の種類にもよりますが、通常30分から1時間半ほどで完了するといわれています。
具体的には手で触っても付着しなくなったらオッケーです。
養生が完了する前に機械を入れてしまうと、乳剤が剥がれてしまうので、後の損傷原因につながってしまいます。
また飛散防止のため、コンクリートパネルなどで防ぎながら散布します。
コンクリートパネルはよくコンパネとよばれ、コンクリート打設のための型枠用合板として使用されます。
ベニヤ板などとは違い複数重ねられた合板なので、強度や耐水性が高いです。
プライムコートを散布することでコーティング作用が生じ、路盤自体の強化が見込めます。
また雨水などが侵入し、経年劣化を早めてしまうことになります。
上層路盤工(瀝青安定処理路盤)
人力で混合物を敷きならした後、ランマやプレートなどで締め固めます。
下層路盤同様不十分な締固めは施工後に大きく影響するので気を付けます。
上層路盤は在来の砂利層をそのまま使用する場合と、安定処理された路盤材を使用する場合があります。
在来処理層をロードスタビライザなど現場でセメントや石灰と混合させて安定処理を行うこともありますが、局部的な打換えでは重機が入りません。
瀝青安定処理がされた路盤材を使用すると、平たん性・耐久性などに富んでいるので急速な破損を生じさせないようにしています。
タックコート工
プライムコート工と同様の手順を行います。
プライムコートは防水・馴染ませる目的で使用される乳剤で、路盤仕上げ後に施工されます。
タックコートは表層のアスファルトと下の層を馴染ませる乳剤で、付着を期待するために施工されます。
十分な施工の範囲を確保できる場合は、エンジンスプレーヤの代わりにアスファルト乳剤散布に特化しているディストリビュータという機械を使用しますが、局部的な打換えでは十分な幅員を確保できない場合が多いので、ほとんど登場機会はありません。
表層・基層工
- 人力で基層に適した混合物を敷きならした後、ランマやプレートで締固めを行います。
- タックコートを使用します。
- 人力で表層に適した混合物を敷きならした後、ランマやプレートで締固めを行います。
- 舗装表面の温度が十分に下がるまで養生します。50℃以下になるまでは交通開放を避けましょう。
留意すべき事項
- 局部打換え工法は交通解放後沈下が生じやすいです。そのため施工に際して転圧・締固めは十分に行う必要があります。
また急速施工で舗装しても同様の危険性があります。 - 縁端部の沈下が多く、段差が生じてしまうことが多いです。あらかじめ仕上がり面を0.5cmほど高くしておき、施工後多少上がることを見越して表層をかけるようにします。
- 2層以上施工するときは、下層と上層の施工目地が重複しないよう行います。例えば、アスファルト層と路盤の施工目地を15cmほどずらすことで施工後の耐久度を下げないようにできます。
- 横継目の位置も、下層の継目と同じ位置に上層の継目を重ねてはいけません。また、上の層ほど大きく撤去すると、スペースが増えて締固めを行いやすくなります。
局部打換え工法まとめ!
局部打換え工法は、表層・基層もしくは路盤から局部的に打換える工法です。
パッチングやひび割れ注入工法などと違って、既設舗装の破損状況が局部的にひどく、事前調査などで構造的破損であると診断された場合に適用されます。
ひび割れが亀甲状になっていたり、路面上に砂が噴き出ていたりすると路盤まで破損の影響をきたしている場合が多いです。
また重機で締固めができないことが多く、施工後沈下を引き起こしてしまうことも多い工法です。
また工程や使用材料も数多く、ひとつひとつ順番を間違えないよう丁寧にこなさなければなりません。
以上より、長期的な維持や管理を意識して、入念な施工を手掛ける必要があります。