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【アスファルト舗装の補修工法】フラッシュ対策工法、わだち部オーバーレイ工法とは?施工方法を徹底解説!

わだち部オーバーレイ工法とは

わだち部オーバーレイ工法は、その名のとおりわだち掘れを起こした部分だけをオーバーレイする工法で、車両進行方向に長く施工することが多いためレール引き工法とも呼ばれます。

主に摩耗などによってすり減った部分を補う目的で使用されますので、積雪や寒冷地域に生じる摩耗によるわだちに対して良く採用されます。

流動によるわだちに対しては適していません。

安全性を確保するために行われる一時的な措置で、簡易な工法です。

平たん性を確保するため、オーバーレイの事前処理のレベリングとして実施されることも多いです。

使用する材料はなにがあるか

使用材料は、一般地域では加熱アスファルト混合物(密粒度As(13))や細粒度アスファルト混合物(13)等が用いられます。

積雪寒冷地域ではフィラーが多い加熱アスファルト混合物(密粒度As(13F)や細粒度ギャップAs(13F)が用いられます。

フィラーとは石灰岩を粉末にした石粉や高炉スラグの粉末のことで、粘性の向上が期待できる物質です。

ギャップアスファルトはすべり抵抗性や耐摩擦性、耐流動性の向上が期待でき、勾配の大きい坂道に使用されることが多いです。

ポリマー改質アスファルトを用いた混合物や砕石マスチックアスファルト(SMA)混合物などを使用すると、さらに摩擦抵抗性を向上させることができます。

砕石マスチック(SMA)が、マスチックモルタルが骨材間の空隙に入り込むことで耐流動性をはじめとしたさまざまな効果を狙える混合物です。

わだち部にオーバーレイを行うと、施工厚さが現況路面に沿う以上均一にならず薄くなってしまう箇所も出てきてしまいます。

そこで、接着力に優れるタックコートの使用が望ましく、ゴム入りのアスファルト乳剤(PKR-T)が有効です。

ほかにも、耐老化や耐摩耗性にも有用な特徴を持っています。

施工する手順

事前準備で不純物を取り除く

路面を人力や路面清掃車で清掃し、わだち掘れの箇所を重点的に施工箇所のゴミや泥をきれいに取り除きます。

タックコートを散布する

路面の保護を行い、アスファルト乳剤が不必要な箇所まで付かないようにします。

散布方法は、エンジンスプレーヤ等で乳剤を均等に散らせて、養生を行います。

エンジンスプレーヤは乳剤散布用の機械で、ギヤ式やエア式のものがあり、規模によってエンジン稼働タイプと主導のポンプで稼働するタイプがあります。

混合物の舗設をすばやく行う

アスファルトフィニッシャなどで敷きならした後、鉄輪ローラやタイヤローラなどを用いて締固めを行います。

施工厚さが薄い箇所があると温度低下が早く管理が難しいため、製造時の温度が高めに設定されます。

したがって、敷きならし後はすばやい転圧が必要です。

養生をする

舗設後は養生を行い、50℃以下になるまでは交通開放をしないようにします。

留意すべき点

  • 現況路面に対して施工厚さが確保できないことを考慮し、最大粒径5mmほどの粒径が小さい混合物を利用します。
  • 供用後の剥脱を防ぐために、端部について乳剤の塗布や砂を散布して付着力を高めるように処理します。

 

フラッシュ対策工法、わだち部オーバーレイ工法まとめ

フラッシュ対策工法は、フラッシュが生じた路面にプレコート砕石や乾燥砂を散布し、その後鉄輪ローラで転圧・転入することで、すべり抵抗性や塑性変形抵抗性の回復を図る工法です。

応急的に処置する場合は、乾燥した粗目の砂をフラッシュしている箇所に散布し、アスファルト分を吸収させて対処します。

フラッシュやブリージングはコンクリートに比べると頻度はかなり少ないですが、施工前・施工時の品質管理や不良が原因で生じてしまうことがあります。

わだち部オーバーレイ工法は、わだち掘れを起こし摩耗などによってすり減った部分だけをオーバーレイする工法です。

積雪や寒冷地域に生じる摩耗によるわだちに対して良く採用されています。

どちらの対策も簡易的に行うことが可能で、応急的な工法ともいえます。

施工後さらなる既存舗装の劣化や、路盤や舗装内部まで傷んでいる可能性がある場合は、異常のある混合物を取り除いて打換えを検討していかなければなりません。

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