道路は、通行荷重や地域性や気候等の影響を受け供用性能が低下していくと、安全・安心な交通に支障をきたしてしまいます。
そのため、舗装の破損具合を常に把握し、適宜適切な方法を考え補修しなければなりません。
補修は大別すると2種類あり、1つは劣化の進行やさらなる破損拡大の防止を目的に行われ、舗装を長期的に機能させるための維持による補修。
もう1つに既存の構造をさらに強化させ、供用性能の向上や回復に務める修繕の補修があります。
破損の形態によってさまざまな手法がありますが、本記事ではフラッシュ対策工法、わだち部オーバーレイ工法について解説します。
フラッシュ対策工法とはどんなものか
フラッシュはよくブリージングと並べて説明されますが、舗装中のアスファルト表面に浮き出し、表面にアスファルトの膜ができる現象です。
これは混合物のアスファルト量が配合設計で規定された量より多かったり、舗装直前に塗布する乳剤の散布量過多の場合に起こり、品質不良が原因とされています。
コンクリートに比べるとなかなか起きる現象ではありません。
フラッシュ対策工法は、このようなフラッシュが生じた路面にすべり抵抗性や塑性変形抵抗性の回復を図る工法です。
方法はプレコート砕石や乾燥砂を散布し、その後鉄輪ローラにより転圧・転入することで対策を行います。
プレコート砕石とはあらかじめ骨材にアスファルトなどを散布して表面を被膜している砕石で、アスファルトとの付着性をよくします。
鉄輪ローラはロードローラなど道路や基礎の締固めに使用される機械です。
応急的に処置する場合は、乾燥した粗目の砂をフラッシュしている箇所に散布し、アスファルト分を吸収させて対処します。
使用する材料
一般的にはS-13またはS-5の単粒度砕石をアスファルトでプレコートさせて使用します。
先ほども述べたように応急で対応する場合の材料は、乾燥した粗目砂や人工骨材が用いられます。
施工方法について
骨材の散布
フラッシュが生じている舗装路面にプレコート砕石や乾燥した粗目砂等を人力や散布機を使用して散りばめます。
アスファルト混合物に圧入する際効果が出るように、熊手や竹ほうき等を使って骨材を均一に散りばめ、重ならないようにすることが大切です。
鉄輪ローラによって転圧・圧入をする
散布し終わった骨材等を路面に定着させるために、圧入されるまで鉄輪ローラによって転圧を行います。
転圧後は浮き石が発生しますので、竹ほうきなどで除去しなければなりません。
留意すべき事項
- 広範囲にフラッシュが生じている場合は塑性変形抵抗性が著しく低下している可能性が高いです。そのため、原因となる混合物ごとの除去を目的にフラッシュ対策よりも打換えをすることが望ましいです。ただし、その分費用や手間がかかってしまいます。
- 圧入する骨材に大きい粒径のものを使用するときは、転圧時に骨材がつぶれて割れないよう路面をバーナー等で加熱しておくことが望ましいです。
- フラッシュ対策を行っても、アスファルトが流動してしまう可能性があります。そこで、応急対策として行った後に新たに根本的対策を必要とするケースも存在します。