舗装の維持工法は、応急的もしくは緊急性が高い舗装の破損を補修する工法です。
主な維持工法には、パッチング工法やシール材注入工法、表面処理工法など用途や条件に応じてさまざまな工法が存在します。
道路を安全・快適に通行するためには舗装を応急的に補修することは不可欠です。
本記事では、シール材注入工法についてどんな工法なのか、どのような種類があるのかなど徹底解説していきます。
シール材注入工法とはどんなもの?
シール材注入工法は、クラックやひび割れに対してシール材を充填し補修する工法です。
ひび割れをシール材の注入でふさぐことで、雨水を始めとした水分が舗装下層にある路盤や路床に浸入できないようにすることができます。
もし雨水などが浸入してしまうと、路盤などの性能を低下させてしまい、舗装構造にえいょうを与えてしまいます。
その状態のまま放っておくと、舗装が下がって平たん性を失ったり、さらなるクラックを生み出したり、道路の陥没などにつながってしまう恐れがあります。
補修を行う事前に、清掃や十分に乾燥させます。
その後、アスファルト系のシール材や、エポキシ・MMA樹脂等の常温樹脂系シール材を充填して修理します。
この工法自体は舗装だけでなく、コンクリート等にも使用できます。
Uカットした後に用いたり、専用器具とゴムを使って低い圧力をかけ続けて注入することもあり、さまざまな用途で登場します。
道路の延命を期待できることと、安価で比較的時間のかからない工法ですので、維持管理を考えている道路管理者にとって人気があります。
実際そこら中で車を走らせてて道路に注目していると、至るところで発見できるのではないでしょうか。
アスファルト系シール材による施工
アスファルトやゴムなどの加熱注入式シール材を注入することによって補修します。
工事において、高温であればドロドロしているため流動や流出したり、低温であれば脆化や硬化破壊に苦しむような素材のものが多いですが、そういった心配はありません。
また、粘着質で弾力性も豊かなため、自身や隣接構造物に対しての膨張や収縮にも順応することができます。
アスファルト系のほうが安価なため、ひび割れの幅が広いとより多くの注入量が必要になるので、加熱型で補修されることがほとんどです。
以上の特徴から、5mm~10mmほどの幅の広いクラックに適用することが多いです。
材料と加熱する工具さえ所持していれば簡易的に可能なため、小規模であればシール材を貯蓄して職員で施工している自治体もあるようです。
建材店や取り扱いがある会社に直接発注すれば、入手可能です。
使用材料は何が使われている?
クラックの大きさや幅に応じて、粘性や浸透力を考慮して選定されます。
アスファルト乳剤系やカットバックアスファルトなどは粘性が小さく浸透力が大きいので、細いクラックに対して適しています。
アスファルトモルタルやスラリー混合物、ブローンアスファルトなどはそれらの影響をあまり心配する必要がない太めのひび割れやリフレクションクラックなどに適しています。
リフレクションクラックとは、アスファルト層の下にあるコンクリート版などの目地やひび割れの真上に発生するひび割れのことをいいます。
施工に必要な手順
施工箇所の事前処理
ひび割れ内部のゴミ・泥・汚れなどを吹き飛ばして洗浄します。
不純物が残っていると不十分な施工になってしまい寿命を縮めてしまいます。
シール材を溶融させる
シール材を流し込めるように加熱し溶融させます。
流動性が上がるので、クラックの奥深くまで浸透させることができます。
プライマーの塗布
現場条件などの具合で接着性に不安がある場合、プライマーを塗布することがあります。
シール用のプライマーが販売されており、接着剤としてだけでなく耐久性の向上も狙える下地処理剤です。
自治体における特記仕様書には耐久性を高めるために、必ず塗布するよう支持されているような地域もあります。
注入させる
まず、シール材をひび割れに沿って流し込みます。
この時、よく浸透させるためにブラシなどの器具を用います。
余った材料はケレンなどですきとって、表面が均されるように整形します。
ケレンとは鉄のさび落としなどに使われる素地調整の器具です。
お好み焼きのパテのような見た目をしています。
最後に接着性があるため、砂や小さめの砕石を散りばめて、車両のタイヤや人の足に付かないように施します。
交通解放させる
しばらく待った後、十分に硬化できているか、べたつきがある程度なくなっているかの確認行い、それまでは通行させないよう心がけ養生します。
留意しなければならない点
シール材注入工法を適用するためには、十分に乾燥させることが不可欠です。
ろめんが湿っていた場合などはバーナーなどで加熱して乾燥させてから行うようにしないといけません。