道路は、通行荷重や地域性や気候等の影響を受け、老朽化とともに供用性能が低下し、人や車などが安全な通行に支障をきたしてしまいます。
そのため、舗装の破損具合を常に把握し、適宜適切な方法を考え補修しなければなりません。
補修は劣化の進行やさらなる破損拡大の防止を目的に行われます。
大別すると2点あり、長期的に機能させるための維持と既存の構造をさらに強化させ、供用性能の向上や回復に務め、修繕に区分されます。
維持工法は主に舗装面の軽微な損傷や機能的破損の対策として行われます。
修繕工法は、構造的破損を防ぐための対策として行われます。
以下に、破損の形態に沿って補修工法を紹介していきます。
わだち掘れによる損傷はどんな理由があるか
まず原因として挙げられるのはわだち掘れが起きてしまうことです。
いくつか引き起こるための原因がありますので列挙していきます。
路床・路盤の沈下によって発生してしまう
車両等の走行軌跡において、支持力低下によるひび割れとともに発生することが多いです。
路床・路盤の損傷による沈下が起きてしまうと構造的な破損になりますので、修繕工法の選定が必要です。
流動してしまい発生する
温暖な地域の重交通車両が多い道路に発生することが多いです。
地域の気象条件や交通条件に適したアスファルト混合物の選定を行う必要があります。
また軽微なものは切削工法が用いられることが多いですが、根本的な補修が必要なものは切削オーバーレイ工法や打換え工法などが採用されることもあります。
摩耗の影響で引き起こる
冬期にタイヤチェーンなどを装着して走行する道路に発生することが多いです。
施工を行う際に、混合物の選定に伴い摩耗抵抗性を考慮する必要があります。
工法は流動した場合と基本的に同様です。
ひび割れの原因となる理由
次に紹介するのがひび割れです。
街中や山道などの道路を通行していると、見かけることも多いでしょう。
以下に引き起こる原因についていくつか紹介していきます。
路床・路盤の支持力低下によって起きてしまう
走行軌跡において亀甲状に生じることが多いです。
このようなひび割れは構造的な破損である場合がほとんどです。
軽微なものはシール材注入工法で済ませることもありますが、重大なものは路上路盤再生工法を採用することもあります。
アスファルト混合物の劣化・老化が進んで起こる
走行軌跡のひび割れが進行して舗装面全体に向けて亀甲状に生じます。
初期段階では表面的な破損の場合が多いですが、放っておくと構造的な破損に進行してしまうので、早期の補修が必要です。
凍上によって舗装が上がってしまう
寒冷地域において舗装面の持ち上がりが生じてひび割れがよく発生します。
このような場合、ほとんどが構造的破損をしていますので、打換えや路上路盤再生工法が選定されることもあります。
わだち掘れによって生じる
走行軌跡と同方向に生じます。
初期段階は表面的な破損であることが多いですが、進展すると構造的破損につながる恐れがあります。
傷んでいる範囲や程度で工法がかなり左右されます。
橋面上で起きる
鋼床版の縦リブや主桁上に線状で生じている場合が多いです。
表面の破損で済んでいるものも構造的破損をしているものもあります。
縦リブの上などはカッタを入れ、注入目地を設置することで発生予防する事例もあります。
温度応力に影響される
寒冷な地域で横方向に一定間隔で発生する場合が多いです。
初期段階は表面的な破損の場合が多いですが、進展していくと構造的破損につながる恐れがあります。
シール材の対処が一般的です。
ヘアクラックが起きる
舗装面全体に微細な線状に生じる場合が多いです。
大抵は表面的な破損であるため、軽微な損傷として表面処理工法で補修します。
リフレクションクラックが起きる
アスファルト混合物の下層にコンクリート版またはセメント安定処理路盤がある場合に線状になる場合が多いです。
重大なものは打換え工法を採用し、それに伴ってクラック部に抑制シートを設置することもあります。
施工継目部分に発生する
施工継目部に線状になることが多いです。
表面的な破損がほとんどでシール材注入や局部で打換えされることがほとんどです。
不等沈下で重大なひびがいく
構造物周辺や路体の切盛沿いなどで線状に生じやすいです。
大抵の場合、構造的破損につながりますので修繕工法を検討します。
亀甲状の場合は表面処理で対応することもあります。
平たん性が低下する原因は何か
道路ががたがたになっていたり、くぼんでいたりする様子は誰でも見かけたことがあると思います。
そうして平たん性が失われてしまう原因をいくつか紹介します。
コルゲーションのせい
通行車両がブレーキをかける箇所に生じる場合が多いです。
当初設計時よりも想定外の荷重がかかることや、アスファルト自体の品質・接着不良などが原因であることが多いため、根本的な補修がよく採用されます。
くぼみが頻発する
基礎地盤の局地的な沈下や混合物の品質不良で生じる場合が多いです。
影響面積が小さいため、多くはパッチングなどの補修が検討されます。
寄りが起きている
プライムコートやタックコートなどの乳剤散布が過多・不均一なために生じます。
パッチング工法が採用されることが多いですが、隆起している箇所がある場合は切削工法が採用されることもあります。
段差が生まれる
主に不等沈下のせいで生じます。
少々の沈下なら施工時の締固めが不十分だったなどが考えられますが、沈下の進行が止まらない場合は根本的な補修が必要です。
ブリスタリングが原因になる
橋面舗装のブリスタリングは、防水層の中にある防水材が床版中の水分から発生する場合と、レベリング中に発生する場合、舗装施工直後に発生する場合があります。
どのような場合でも、内部の水蒸気を除去してから補修を行います。